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乳腺腫瘍

犬と猫の乳腺腫瘍のコラムのサムネイル

乳腺腫瘍とは、乳腺組織が腫瘍化したもので、犬猫ともに腫瘍の中では発生頻度が高いものです。
エストロゲン(卵胞ホルモン)等との関連があり、避妊手術をしていない中高齢のメスで発生しやすいです。

腫瘍は、乳腺に沿って複数発生することもあります。
悪性腫瘍の場合は徐々に成長し、リンパ節転移肺転移を起こす事があります。

●犬の乳腺腫瘍

・発生率

発情と避妊手術のタイミングが、発生率に影響します。
初回発情前に避妊手術を受けると発生率は0.5%、2回目発情前で8%、2回目発情以降では26%です。

・良性vs悪性

犬では5割が良性5割が悪性と言われています。サイズが3cmを超えると悪性の確率が上がります。
悪性腫瘍は転移する事があるので、適切な治療が必要です。

●猫の乳腺腫瘍

・発生率

年齢と避妊手術のタイミングにより、発生率が低下します。6ヶ月齢までに避妊手術を受けると91%低下、12ヶ月齢までで86%低下、24ヶ月齢までで11%低下します。

・良性 vs 悪性

猫の乳腺腫瘍は、8〜9割が悪性です。サイズが2cmを超えると、生存期間が短くなる事がわかっています。
悪性の割合がとても高いので、迅速な診断と治療が重要です。

乳腺腫瘍の大きさをスケールで示している

●症状

・乳腺のしこりや腫れ

・皮膚の変色や潰瘍

・食欲不振や体重減少(進行した場合)

●検査

・触診

触診で乳腺のしこりや異常を確認します。

・細胞診検査

注射針を用いて腫瘍から細胞を採取し、顕微鏡で検査します。腫瘍の種類を確認し、悪性度を予測します。

・画像診断

超音波レントゲン検査を用いて、腫瘍の広がりや転移の有無を確認します。この結果を踏まえて、治療方針や手術の方法を検討します。

乳腺腫瘍を超音波で確認する写真
乳腺腫瘍をレントゲン検査で確認する写真

●治療

・手術

乳腺腫瘍の治療の第一選択は、外科的切除です。腫瘍の大きさや広がりに応じて、部分的な乳腺切除や全乳腺切除を行います。

・化学療法

悪性腫瘍の場合、手術後に抗がん剤治療を行うことがあります。これにより、残存する腫瘍細胞を減少させ、再発のリスクを低下させます。

・放射線療法

一部のケースでは放射線療法が使用されることもあります。その場合は、大学病院等へ紹介します。

●予防

・早期の避妊手術

若齢の間に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクを減少させることができます。
では初回もしくは2回目の発情前に、では1歳までに避妊手術を行うと効果的です。

・定期的な健康診断

定期的に獣医師による健康診断を受けることで、早期に異常を発見し、早期治療が可能になります。

●まとめ

犬猫の乳腺腫瘍は、比較的よく見つかる腫瘍で、特に未避妊の場合に多く発生します。
悪性の場合は転移を起こす事もあるので、早期発見と適切な治療が重要です。

日頃からペットの体をよく触り、異常があれば速やかに獣医師に相談することが大切です。

玉川学園犬猫病院
院長 獣医腫瘍科認定医II種
綿貫貴明

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